「体重が同じなら、必要なカロリーも同じ?」と疑問に感じますよね。犬の1日の必要カロリーは、体重だけでなく、年齢や避妊・去勢の有無、活動量なども含めて見積もります。この記事では、RERからDER、フードのグラム数へ進む3段階を、具体例とともに解説します。
まず結論:必要カロリーは3段階で考える
| 段階 | 求めるもの | Pawlovで使う計算 |
|---|---|---|
| 1 | RER(安静時エネルギー要求量) | 70 × 体重kg0.75 |
| 2 | DER(1日あたりエネルギー要求量) | RER × ライフステージ係数 |
| 3 | 1日のフード量 | DER ÷ 1gあたりのカロリー |
RERは、安静にしていても生命維持に必要なエネルギーの目安です。DERは、成長や活動などを含めた1日の必要量の目安を指します。最後にフードのカロリー密度を使うと、実際に量るグラム数へ換算できます。
RERはなぜ体重に単純比例しない?
Pawlovの計算では、RERを次の式で求めます。
RER(kcal/日)= 70 × 体重(kg)0.75
体重の右上にある「0.75」は、体の大きさと代謝の関係を表す指数です。体重が2倍になっても、必要なエネルギーがそのまま2倍になるわけではありません。この考え方を代謝スケーリングといいます。
たとえば、5kgと10kgの犬のRERを同じ式で比べると、次のようになります。
| 体重 | RERの計算結果(約) | 5kgとの比較 |
|---|---|---|
| 5kg | 234kcal/日 | 1倍 |
| 10kg | 394kcal/日 | 約1.68倍 |
体重は2倍でも、RERは約1.68倍です。小さい犬ほど体重1kgあたりに必要なエネルギーが多くなるため、体重だけを定数倍する方法ではずれやすくなります。
この式の出典は、Ohio State University Veterinary Medical Center(OSU)の「Basic Calorie Calculator」です。
DERはどうやって求める?
DERは、RERに愛犬の状態に応じた係数を掛けて求めます。
DER(kcal/日)= RER × ライフステージ係数
Pawlovのフード給与量計算ツールが使う係数は次のとおりです。数値は一般的な目安であり、個体差があります。
| 愛犬の状態 | 係数 | 計算時の注意 |
|---|---|---|
| 避妊・去勢済みの成犬 | 1.6 | 一般的な成犬の目安 |
| 未避妊・未去勢の成犬 | 1.8 | 手術をしていない成犬の目安 |
| 運動量が少ない・肥満傾向 | 1.3 | 標準的な範囲の中央値を採用 |
| 減量が必要 | 1.0 | 現在体重ではなく目標体重でRERを計算 |
| 子犬(離乳〜4か月) | 3.0 | 成長期前半の目安 |
| 子犬(4か月〜成犬) | 2.0 | 成長期後半の目安 |
| シニア犬(7歳〜) | 1.4 | 体調や筋肉量による差に注意 |
| 妊娠後期 | 3.0 | 交配後およそ5週以降の目安 |
| 授乳期 | 4.0〜8.0 | 子犬の数などで幅が大きい |
係数の根拠は、OSUの「Basic Calorie Calculator」と、WSAVA(世界小動物獣医師会)の「Global Nutrition Guidelines」です。
子犬、シニア犬、妊娠・授乳期、減量中の犬は必要量の個体差が大きくなります。持病がある場合も、係数だけで食事量を決めず、かかりつけの獣医師へ相談してください。
必要カロリーをフードのグラム数へ換算するには?
DERが分かったら、フードの「代謝エネルギー」を確認します。パッケージに「350kcal/100g」とあれば、1gあたりでは3.5kcalです。
1日のフード量(g)= DER(kcal/日)÷ カロリー密度(kcal/g)
10kgの避妊・去勢済み成犬に、350kcal/100gのフードを与える例で計算してみましょう。
- RER:70 × 100.75 = 約394kcal/日
- DER:約394 × 1.6 = 約630kcal/日
- フード量:約630 ÷ 3.5 = 約180g/日
「3500kcal/kg」と書かれている場合は、10で割ると「350kcal/100g」になります。Pawlovのツールでは、途中のRERとDERは丸めず、最後のグラム数を整数に丸めています。
この例をツールで確認し、1回分へ分ける
給与量計算ツールでは、上の例を次の順で入力できます。例の数値は操作を確かめるためのもので、愛犬にそのまま与える量ではありません。
| 画面の項目 | この例で入力・選択するもの |
|---|---|
| 体重(kg) | 10 |
| 状態を選ぶ | 「避妊・去勢済みの成犬」 |
| フードのカロリー | 「数値を手入力」へ切り替える |
| カロリー密度(kcal/100g) | 350 |
入力すると「1日の給与量の目安」に180gが表示されます。その下の「1回あたりの量」で「1日2回」を選ぶと90g、「1日3回」なら60gになります。180gは1日分の合計なので、毎回180gずつ与える意味ではありません。回数の選択は、その合計を均等に分ける操作です。食事回数や量について獣医師から指示がある場合は、その指示を優先してください。
愛犬の条件で使うときは体重と状態を置き換え、フードは「銘柄から選ぶ」で候補を選ぶか、袋にあるカロリーを手入力します。手入力欄へ入れるのは100gあたりのカロリーで、上の例のDER「630」やフード量「180」ではありません。おやつや別のフードを与えている場合も、計算した主食の量へそのまま上乗せせず、1日全体のカロリーとして考えます。
計算した1日量は、袋に入れたままの目分量ではなく、食事回数ごとにグラムで量ると再現しやすくなります。容器の重さを差し引けるスケールを使い、家族で同じ量り方にそろえるのがポイントです。
計算したグラム数を毎回量る
計算結果を日々の給与量へ反映するには、同じ単位で繰り返し量れるスケールが便利です。価格や在庫は変動するため、購入前に各販売ページで最新情報をご確認ください。
計算値は出発点です。体重・体型・便の状態を見ながら調整してください。
計算結果どおりに与えればいい?
計算結果は、給与量を考えるための出発点です。同じ条件でも、体質、運動量、室温、健康状態などで必要量は変わります。次の変化を定期的に確認しましょう。
- 体重が増え続けたり、減り続けたりしていないか
- 肋骨の触れ方や、上から見た腰のくびれが変わっていないか
- 便や食欲にいつもと違う変化がないか
体型の観察は犬の体型チェック(BCSの見方)でも整理できます。計算結果と現在の給与量が大きく違う場合は、急に変更せず、獣医師へ適切な調整幅を相談してください。急な食欲低下、嘔吐、下痢、元気がないなどの変化があれば、量の調整より受診を優先します。
愛犬の必要カロリーとフード量を計算する
RERや係数を毎回手計算する必要はありません。フード給与量計算ツールに、体重、愛犬の状態、フードのカロリーを入力すると、1日の必要カロリーとグラム数の目安を確認できます。結果の食事回数を選ぶと、1回分の量も表示されます。
ツールの入力方法や、結果から量を調整する考え方は「犬のごはんの量はどう決める?給与量計算ツールの使い方」で詳しく解説しています。
よくある質問
RERとDERの違いは?
RERは、安静時に生命を維持するためのエネルギーの目安です。DERは、RERに成長や活動などを考慮した係数を掛けた、1日の必要エネルギーの目安です。日々の給与量を考えるときは、DERからグラム数へ換算します。
おやつのカロリーもDERに含める?
DERは1日全体のエネルギー量の目安です。そのため、おやつのカロリーも含めて考えます。WSAVAは、おやつを1日の必要カロリーの10%未満にする目安を示しています(出典: WSAVA「Feeding treats to your dog」)。
パッケージの給与量と計算結果が違うのはなぜ?
パッケージの表とPawlovの計算では、前提とする体重区分や活動量、丸め方が異なる場合があります。どちらも出発点として扱い、体重と体型の変化を見ながら調整してください。
療法食や持病がある犬にも使える?
療法食の量は治療計画の一部です。ツールの計算結果より、診察した獣医師の指示を優先してください。持病がある犬も、一般的な係数が適さない場合があります。
出典
- Ohio State University Veterinary Medical Center「Basic Calorie Calculator」
- WSAVA(世界小動物獣医師会)「Global Nutrition Guidelines」
- WSAVA(世界小動物獣医師会)「Feeding treats to your dog」
本記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師による診断や栄養指導の代わりになるものではありません。愛犬の健康状態や食事量に不安がある場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。