散歩中に愛犬が草を食べると、「栄養が足りない?」「吐きたいの?」と心配になりますよね。草を食べる行動だけでは、理由や病気の有無は判断できません。普段との違い、吐くなどの症状、食べた場所を分けて確認しましょう。この記事では、研究で分かっていることと、その結果だけでは言えないことを整理します。そのうえで、草から離れたい場面と、動物病院へ相談する目安を紹介します。
草を食べたとき、まず何を確認する?
| 愛犬の様子・食べた場所 | 次にすること |
|---|---|
| 吐こうとしても出ない、お腹が急に膨らむ、倒れる | すぐに動物病院へ連絡する。夜間は救急へ |
| 有毒植物や、除草剤・農薬が付いた草を食べた疑い | 症状を待たずに動物病院へ相談する |
| 嘔吐を繰り返す、吐いた物に血が混じる、元気がない、お腹を痛がる | 「草のせい」と決めず、早めに動物病院へ相談する |
| 草を少し口にしたが、元気・食欲は普段どおり | 追加で食べないよう離れ、植物・薬剤の危険がないか確認し、その後の変化を記録する |
有毒植物・薬剤の摂取が疑われる場合は、症状がなくても、できるだけ早く動物病院に相談してください。夜間は救急動物病院へ。 最下段は、危険物の摂取や体調の異変が疑われない場合の対応です。
吐こうとしても出ない、腹部が膨らむなどのサインは、胃拡張・胃捻転という緊急の病気でも見られます。サインが全部そろうまで待たないでください。(受診目安の出典:Cornell大学・嘔吐、胃拡張・胃捻転、VCA・草食行動と薬剤のリスク、Pet Poison Helpline・植物を食べたとき)
栄養不足だから? 吐くために食べるの?
Suedaらの研究(2008年)は、植物を食べる犬の飼い主へのインターネット調査を行いました。条件を満たした1,571件のうち、食べた後によく吐くという回答は22%でした。「よく吐く犬」の割合で、草を食べた回数の22%で吐くという意味ではありません。食事の種類と植物を食べる頻度には、関連が認められませんでした。
ただし、飼い主の観察に基づく調査です。行動に影響しうる病気や投薬のある犬などは除外され、個々の栄養状態を検査した研究でもありません。「草を食べる犬は栄養不足」「吐くために食べる」と一律には言えませんが、目の前の愛犬の病気を否定する根拠にもできません。(出典:Suedaら・原著論文)
退屈や不安なども理由の候補として挙げられます。ただ、行動だけを見て「ストレスが原因」と決めつけるのは避けましょう。お腹の不調がある場合は、まず診察で確認することが大切です。(参考:VCA)
散歩中は、どんな草でも止めたほうがよい?
見た目が普通の草でも、除草剤・農薬の付着や、他の犬の便由来の寄生虫を見分けることはできません。種類の分からない植物や、薬剤の散布状況が分からない場所では、食べさせずに離れる対応が取りやすいでしょう。(参考:VCA)
症状のない犬が草へ向かったら、名前を呼ぶなどして飼い主に注意を向け、別の方向へ歩きます。ついて来たら声で褒めましょう。強く叱って止めるより、草へ近づく前に進路を変える工夫をします。これはVCAが紹介する、注意をそらして別の行動を褒める方法に沿った対応です。
吐かせたり、フードを替えたりしてよい?
吐かせる目的で草を与えないでください。有毒植物や薬剤の摂取が疑われるときも、自己判断で吐かせたり、薬を飲ませたりせず、動物病院の指示を受けます。植物の写真や薬剤の商品名が分かれば伝えてください。確認や撮影で連絡を遅らせないことも大切です。(参考:Pet Poison Helpline)
また、草を食べることだけを理由に、フードの変更やサプリの追加を急ぐ必要はありません。前述の研究は、草食行動から栄養不足を判定できるものではないためです。食事が気になる場合は、普段の主食・おやつ・サプリの内容をまとめて獣医師へ相談しましょう。
繰り返すときは、何を記録して相談する?
「いつもより草へ執着する」「草を食べて吐くことが続く」といった変化は、相談時に伝えたい情報です。記録は診断の代わりではなく、普段との差を説明するために使います。
- いつ、どこで、何をどれくらい食べたか。分からないものは「不明」と残す
- 食べる前後の様子と、吐いた時刻・回数・吐いた物の写真
- 食欲・元気・便の変化、普段の食事や服薬
体調の異変があるときは、記録をそろえるより先に連絡してください。嘔吐が続く場合は、草だけに原因を求めず受診につなげましょう。(参考:Cornell大学・嘔吐)
よくある質問
草を食べて吐かなければ、心配はいりませんか?
吐かないことだけでは安全とは判断できません。有毒植物・薬剤の可能性を確認し、元気や食欲にも変化がないか見ます。摂取が疑われる場合は、症状を待たず相談してください。
毎日食べるなら病気ですか?
回数だけでは病気かどうかを決められません。普段より急に増えたか、食欲や便に変化があるかも伝え、獣医師に相談しましょう。
栄養不足を補うため、野菜やサプリを足すべきですか?
草食行動だけを根拠に追加することは勧めません。まず今の食事内容を確認し、偏りが心配なら獣医師へ相談してください。
出典・監修・免責
- Sueda KLC, Hart BL, Cliff KD. Characterisation of plant eating in dogs. Applied Animal Behaviour Science. 2008;111:120–132.(本文確認用PDF)
- VCA Animal Hospitals:Why Dogs Eat Grass
- Cornell大学:Vomiting、Gastric dilatation volvulus (GDV) or “bloat”
- Pet Poison Helpline:This Plant or That Plant?
出典確認日:2026年9月26日。本記事は上記資料をもとに編集したもので、個別の獣医師による監修は受けていません。
本記事は一般的な情報で、獣医師の診断・治療の代替ではありません。愛犬に症状がある場合や、食べた物の安全性が分からない場合は、動物病院へ相談してください。