吐こうとしても出ない動作を繰り返す、呼吸が苦しそう、倒れる・反応が鈍いときは、すぐ動物病院へ連絡してください。夜間は救急へ。 写真撮影やこの記事の読み終わりを待つ必要はありません。
犬が吐くと、色や回数から原因を探したくなります。ただ、黄色い液だから空腹、1回だから大丈夫とは決められません。まず急ぐ変化と、その犬の年齢・持病を確認します。この記事は受診相談の助けであり、家庭で原因や待てる時間を判定するものではありません。
犬が吐いたら、どんなときに病院へ連絡する?
次の表は、連絡を急ぎたい場面の例です。項目が全部そろうまで待たず、いずれかに当てはまれば連絡してください。 該当しないことも安全の保証にはなりません。
| 気づいた様子・状況 | 連絡の目安 |
|---|---|
| 吐こうとしても何も出ない動作を繰り返す/お腹が急に膨らむ/呼吸が苦しそう/倒れる・反応が鈍い | すぐ連絡し、救急受診に備える |
| 血やコーヒーかすのような物を吐く/繰り返し吐く/水を飲んでも吐く/ぐったりする・お腹を痛がる/下痢もある | 改善を待たず連絡し、受診時期を確認する |
| 薬・有害な食べ物・異物などを飲み込んだ可能性がある | 元気に見えてもすぐ連絡。吐き出したから解決とは考えない |
| 子犬・高齢犬・持病のある犬が吐いた | 少ない回数でも早めに連絡。上の変化があればすぐ連絡する |
吐こうとしても出ない、お腹が膨れるといった変化は、胃拡張・胃捻転など緊急の病気でも見られます。家庭で病名を確かめようとせず、症状をそのまま伝えてください。大型犬だけの問題ではありません。上の表は Cornell の胃拡張・胃捻転の解説、PDSA・Dogs Trust の受診案内、RSPCA の中毒時の案内を基に整理しています。[1–4]
子犬や高齢・病気のある犬は、嘔吐や下痢が続いたときの脱水に特に注意が必要です。飲食の変化の影響も受けやすいため、健康な成犬向けの様子見をそのまま当てはめません。服薬中なら薬名と最後に使った時刻も伝えます。[3,5]
もともと健康な成犬が1回吐き、その後は普段どおりで、上の心配がない場合には、注意深く観察する選択肢もあります。ただし、再び吐く・別の変化が出る・判断に迷う場合は連絡してください。「何回までは大丈夫」「朝まで待てる」と決める基準ではありません。[2]
受診まで、水・食事・薬はどうする?
静かに休ませ、無理に食べさせたり飲ませたりしないでください。水も吐いてしまうなら、飲ませ方を工夫して待つのではなく、病院へ連絡する場面です。 救急受診や誤食が疑われるときは、口から何を与えてよいかも電話で確認します。
軽い嘔吐の自宅管理では新鮮な水を飲めるようにする案内があります。一方、必要な治療や食事の扱いは原因・状態で変わります。自己判断で一律に水を取り上げたり、長時間の絶食を始めたりしないでください。とくに子犬・高齢犬・持病のある犬では、先に相談します。[2,5,6]
人用の胃薬・吐き気止め、以前残った薬、他の犬の薬を自己判断で使わないでください。処方中の薬を飲んだ後に吐いた場合も、追加で飲ませるか、中止するかを処方元に確認します。誤食が疑われても、塩水などで吐かせようとせず、飲み込んだ物と時刻を伝えて指示を受けてください。[4]
吐いた物の色や、吐き方から原因は分かる?
黄色い液や白い泡、未消化の食べ物は、病院へ伝える情報になります。ただ、見た目だけで空腹・早食い・胃の病気などと決めることはできません。嘔吐には食べ物による刺激のほか、異物や中毒、消化器以外の病気など、さまざまな原因があります。[2,6]
吐き方にも違いがあります。お腹に力を入れて吐く「嘔吐」に対し、力む前触れが目立たず食べ物などが戻ることを「吐出」と呼び、食道の問題が関係する場合があります。家族が正確に分類する必要はありません。「食後すぐ、力まず出た」「お腹を動かしていた」と、見た様子を伝えます。撮影できても、撮るために連絡を遅らせないでください。[6]
血が混じる、黒っぽいコーヒーかす状に見える場合は待たずに連絡します。色の見分けに自信がなければ「血かどうか分からない」と伝えて構いません。[2,7]
病院には何を伝える?
最初に「今、どんな様子か」を伝え、質問に分かる範囲で答えます。メモを完成させてから電話する必要はありません。 以下は日本小動物医療センターの消化器初診票などを参考にした整理です。[4,8]
- いつから、どのくらいの間隔で吐いたか。以前にもあったか
- 吐いた物と、吐く前後の動作。無理なく撮れた写真・動画があれば用意する
- 今の元気・呼吸・食欲、飲んだ水を保てるか、便や尿の変化
- 直前の食事・おやつ、拾い食い、なくなった薬やおもちゃの心当たり
- 年齢、体重、持病、服薬内容。分からない項目は不明と伝える
診察では経過と全身の状態を確認し、必要に応じて血液検査や画像検査などを検討します。検査や治療の内容は犬ごとに異なります。帰宅して観察する指示になったら、水と食事の与え方、薬、再連絡する変化、次の受診時期を確認しておきましょう。[6]
夜間の受診先や持ち物、診療後の引継ぎは犬の夜間救急に備えるにまとめています。
治まった後も、繰り返すなら相談する
毎回すぐ元気になる場合でも、日を空けて繰り返す嘔吐を「いつものこと」で終わらせないでください。Cornell は、頻度が低くても繰り返す嘔吐に病気が隠れる場合があるとしています。食欲や体重の変化も含めて相談します。[7]
治療中は指示された食事と薬を守り、改善しない・再び悪化する場合は病院へ連絡してください。原因の確認前にフードやサプリを次々と変えるより、何を食べていつ吐いたかを残すほうが、診療で説明しやすくなります。
よくある質問
黄色い液や白い泡なら、様子を見てよいですか?
色だけでは決められません。まず呼吸や反応、吐こうとしても出ない様子、誤食の可能性、年齢や持病を確認します。繰り返す、元気がない、水も吐く場合は、色にかかわらず連絡してください。
1回だけ吐いて、今は元気です。受診が必要ですか?
健康な成犬でほかに心配な変化がなければ、注意深く観察する選択肢はあります。ただし誤食の疑い、血、子犬・高齢犬・持病のある犬は別に考えます。不安がある、また吐いた、いつもと違うときは病院へ相談してください。
未消化のフードを出したので、早食いでしょうか?
早食いだけとは限りません。食べてからの時間と、力んで吐いたか、前触れなく戻ったかを伝えてください。水や食事をすぐ戻す、繰り返す、呼吸がおかしい場合は、早食い対策を試す前に連絡します。
ご飯を抜けば治まりますか?
原因や犬の状態で対応が変わります。この記事を根拠に絶食時間を決めたり、水を一律に止めたりしないでください。食事・水・薬の扱いを病院へ確認し、飲んでも吐く場合は早急に相談します。
出典
以下の資料を2026年10月31日に確認し、連絡と観察の順序は編集部で整理しました。
- Cornell University College of Veterinary Medicine「Gastric dilatation volvulus (GDV) or “bloat”」
- PDSA「Vomiting in dogs」
- Dogs Trust「When to take your dog to the vet」
- RSPCA「Dog poisoning」
- AAHA「10 Pet Health Signs You Should Never Ignore」
- VCA Animal Hospitals「Vomiting in Dogs」
- Cornell University College of Veterinary Medicine「Vomiting」
- 日本小動物医療センター「消化器 初診票(PDF)」
本記事は一般的な情報提供を目的とし、獣医師による診断・治療の代わりにはなりません。症状や対応に迷う場合は動物病院へ相談し、緊急時は夜間救急を含む受診先へ連絡してください。サイト全体の方針は免責事項をご確認ください。