車に乗るたびに吐く、よだれが増える、乗る前から震える。通院や外出が心配になりますよね。犬の車酔い対策は、吐き気の相談・車への段階的な練習・安全な乗車環境を分けて整えることが基本です。[出典1・2]いま具合が悪い場合は、運転者は安全な場所へ停車して対応してください。呼吸が苦しい、ぐったりしている場合などは、車酔いと決めつけず動物病院へ連絡します。まず受診の目安、その後に出発前の準備と慣らし方を確認しましょう。
吐いたらどうする?先に受診の目安を確認
| 愛犬の様子 | 取る行動 |
|---|---|
| 呼吸が苦しい、倒れる、反応がおかしい | すぐ動物病院へ連絡。夜間は救急動物病院へ |
| 暑い環境で激しくハアハアする、ぐったりする | 涼しい場所へ移し、体を冷やし始めながらすぐ連絡 |
| 車を降りても嘔吐が続く、吐いた物に血が混じる、お腹が張って吐こうとし続ける | 単なる車酔いと考えず、すぐ動物病院へ連絡 |
| 移動のたびによだれ・吐き気・震えがある | 次の移動前に相談。症状が出るまで乗せ続けない |
PDSAは、続く嘔吐、血、元気の低下、倒れるなどの異常を受診相談の目安に挙げています。暑さによる不調でも、よだれや嘔吐が出ることがあります。表は診断表ではなく、相談を急ぐための目安です。[出典1・3・4]
運転者は走行中に犬を抱いたり、スマホで撮影したりしないでください。停車できる場所で状態を確認し、病院へ症状と現在地を伝えます。暑さが疑われるときは、涼しい場所で、鼻や口を避けて体に水道水をかけるなどして冷やします。冷えるまで連絡を待つ必要はありません。[出典4]
よだれや震えだけでも車酔い?
Merck Veterinary Manualは、車酔いに伴う吐き気、よだれ、嘔吐のほか、あくびや落ち着かない様子も挙げています。揺れで内耳(耳の奥にある、平衡感覚に関わる器官)が刺激されることが主な原因です。一方、車への恐怖が関係し、動いていない車でも兆候が出る場合があります。[出典2]
そのため、「まだ発車していないから車とは無関係」「吐いていないから平気」とは判断できません。乗る前から離れようとするのか、走り出してから口をなめたり震えたりするのか、場面と様子を一緒に見ます。あくび一つで原因を決めず、普段との違いを相談材料にしましょう。[出典1・2]
出発前に獣医師へ何を相談する?
車での不調を繰り返すなら、長距離移動の当日を待たずに相談します。PDSAも、問題に気づいた段階での獣医相談を勧めています。[出典1]次の項目をメモしておくと、状況を伝えやすくなります。
- 車に近づいたとき、停車中、走行中のどこで変化が出るか
- よだれ、吐く、震えるなどの様子と、降車後も続くか
- 年齢、持病、飲んでいる薬、出発前の食事と飲水
- 通院か旅行か、予定する移動時間、途中で休める場所
吐き気止めなどが必要かは獣医師が判断します。まるお動物病院は、嘔吐を抑えても車への不安が残り、よだれや震えが続く場合があると説明しています。薬を使って吐かなくなったことだけで、練習を急に進めないでください。残る様子も再相談します。[出典2・5]
人用の酔い止めや市販品を自己判断で与えないでください。薬を処方された場合は、その犬への指示を守ります。食事の時刻や量、水の与え方も一緒に相談し、ネット上の絶食時間や給水制限を一律に当てはめないようにします。[出典1・5]
車にはどう乗せる?練習の前に整えること
乗車中は車内を自由に歩かせず、体格と車での使用に合うクレートや車用ハーネスを使います。JAF Mateはクレートの固定を、Batterseaは適切な拘束具の使用を案内しています。[出典6・7]
製品の対象サイズ、設置できる場所、指定の固定方法を確認しましょう。普通の散歩用ハーネスや首輪へ、ベルトを自己流でつなぐ方法では代用しません。毛布を敷くだけでも拘束にはならず、どの用品も事故時の無傷を保証するものではありません。
クレート自体が苦手なら、まず家で扉を開けた状態に慣れる時間を作ります。無理に押し込まず、自分から近づけるようにします。JAF Mateも、移動のときだけ使わず、普段から出入りできる場所にすることを勧めています。[出典6]
出発前には車内の暑さを取り除き、愛犬のいる場所まで空調が届くか確認します。秋以降も車内放置は避け、運転席の膝に乗せる、窓から顔を出させることもしません。休憩できる駐車場やSA・PAと、連絡できる動物病院を先に調べます。[出典6]必要な道具は犬との旅行の持ち物チェックで整理できます。
車に慣らす練習は何から始める?
Batterseaの段階練習をもとに、出発する予定のない日に小さく始めます。次へ進む条件は日数や回数ではなく、今の段階で愛犬が落ち着いていられることです。怖がったら中止し、休んでから前の段階へ戻します。[出典7]
- 車の外から見る。 エンジンを切り、ドアを閉めた車から、落ち着ける距離を取ります。リードで引き寄せず、静かに見られたら褒めます。
- 開いたドアを見る。 車外にいるままドアを開けた状態に慣れます。自分から近づけても、すぐに乗ることを目標にしません。
- 停車した車内で過ごす。 無理なく乗り降りできる方法を使い、エンジンは切ったまま。慣れた移動用の道具も使い、短く終えます。
- ドアとエンジン音を別々に試す。 ドアを閉める段階に慣れてから、エンジン音へ進みます。空調と逃走防止を確認し、そばで様子を見ます。
- 短い走行へ進む。 乗車中の固定を整え、無理なく戻れる短い経路から。急発進や急ブレーキを避けます。
エンジンをかける練習は、排気がこもる閉鎖ガレージなどでは行いません。停車練習でも暑さに注意し、愛犬だけを車内に残さないでください。
練習中に震える、離れようとする、よだれが増えるなら、その日の負担を減らします。走行中は運転者がおやつを渡したり後ろを向いたりせず、安全な場所へ停車して対応します。症状が出るまで走り続ける練習はしません。[出典1・7]
練習を始める前に通院が必要なら、慣れるまで受診を延ばさないでください。病院へ移動の困りごとを伝え、今回の移動方法を相談します。繰り返し強く怖がる場合も、練習量を増やす前に獣医師へ相談しましょう。
よくある質問
子犬の車酔いは、成長すれば治る?
成犬にも車酔いは起こります。一定の年齢で解消すると決めて待たず、症状があるうちに相談してください。慣らし方で変わる場合もありますが、薬を含む対応が必要な犬もいます。[出典1・2]
車に乗る前のごはんは何時間前まで?
この記事では、一律の時間を示しません。食事と薬の指示が関係する場合もあるため、年齢・持病・服薬・移動予定を伝え、出発前の食事と飲水を獣医師に確認します。長く食事や水を控えればよい、とは考えないでください。[出典5]
毎日長く乗せれば早く慣れる?
長さを増やすことを目標にしません。今の段階で落ち着いて過ごせてから、少しだけ条件を変えます。嫌がる場合は前の段階へ戻し、短い経験で終えるという進め方です。[出典7]
出典・監修・免責
以下を2026年10月23日に確認しました。海外資料の投薬、固定の練習日数、食事時刻を、日本の全犬向けの指示には転用していません。
- PDSA「Car sickness and motion sickness in dogs」(2020年7月)— 不調の兆候、早めの相談、段階練習、薬の注意。
- Merck Veterinary Manual「Motion Sickness in Dogs」(T. Mark Neer獣医師、2024年9月更新)— 揺れと恐怖、停車中の兆候、治療の選択。
- PDSA「Vomiting in dogs」— 続く嘔吐や全身状態の異常などの受診目安。
- PDSA「Heatstroke in dogs」— 暑さに伴う異常、冷却と速やかな獣医相談。
- まるお動物病院「犬の車酔いにセレニアは効く?」(圓尾拓也獣医師、2026年6月9日)— 嘔吐を抑えても残りうる不安、食事と服薬の関係。
- JAF Mate Online「“愛犬と快適ドライブ”のために注意したいこと」(2023年9月29日、ドッグトレーナー長根あかり氏)— 乗車環境、クレートの固定、暑さと車内放置への注意。
- Battersea「Getting your dog used to car travel」(2026年6月30日更新)— 車外・停車・エンジン音・短い走行の段階練習。
本記事は編集部が資料をもとに作成した一般的な情報です。個別の獣医師による監修記事ではなく、獣医師の診断・治療の代替ではありません。体調や移動方法に不安があれば動物病院へ相談してください。画像はAI生成の説明用イメージで、実在個体の症例や用品の安全性能を示すものではありません。