子犬を迎える日が決まると、うれしさと一緒に「で、何から手をつければ?」が押し寄せてきますよね。先に結論をお伝えすると、初日に全部やる必要はありません。優先順位は「休める場所 → 食事と体調 → 手続きと通院 → 社会化としつけ」の順です。この記事では、迎える前から生後4か月ごろまでにやることを時期順に整理し、詳しい話はそれぞれの記事とツールへ案内します。
子犬を迎えたら、いつ何をする?
まずは全体像です。細かい話は後回しにして、「この時期はこれだけ」を押さえてください。
| 時期 | この時期の最優先 | やること |
|---|---|---|
| 迎える前 | 安全に休める場所づくり | 寝床とトイレの場所決め、危険物の片づけ、動物病院探し |
| 初日〜1週間 | 生活を落ち着かせる | 食事と水、排泄、体調の観察、手続きの確認 |
| 生後1〜4か月ごろ | 健康管理と経験づくり | 通院の相談、ワクチン、少しずつの社会化 |
| 生後4か月以降 | 成長に合わせた見直し | 食事量、運動、生活のルール |
表の「時期」は、迎えてからの日数と生後の月齢が混ざっています。**生後2か月で迎える子もいれば、生後5か月で迎える子もいます。**日数と月齢のどちらが先に来るかは、その子によって変わります。
やる順番は何を基準に決める?
迷ったときは、次の4つを順に見ます。上にあるものほど優先度が高い、と考えてください。
- 体調: 食べない、下痢が続く、元気がない。当てはまるときは、まず動物病院へ相談してください。急ぐべきかどうかも含めて確認できます。
- 生後の月齢: ワクチン、社会化、手続きの時期はここで決まります。
- 迎えてからの日数: 環境に慣れるまでの時間です。日数が浅いほど、ゆっくりでかまいません。
- お住まいの自治体のルール: 犬の登録や狂犬病予防注射の窓口・時期は地域で違います。
カレンダーどおりに進める必要はありません。体調に不安があるときは、予定より受診を優先してください。
迎える前に準備するものは?
そろえるものは山ほど紹介されていますが、迎える日までに必要なのは次の4つです。
- 休める場所: サークルやケージ、やわらかい寝床。人の出入りが少なく、エアコンの風が直接当たらない場所に置きます。
- 食事まわり: フードボウル、水入れ、そしていま食べているフード。ブリーダーやペットショップに確認して、同じものを用意しておきます。
- トイレ: トイレシートと、寝床から少し離れた設置場所。
- 安全対策: 電源コード、小物、観葉植物の片づけ。
一度しゃがんで、子犬の目線から床を見てみてください。**大人の視線では気づかない小物が、驚くほど落ちています。**口に入れると危ない食べ物は、犬が食べてはいけない物チェッカーで先に確認しておくと安心です。
首輪やハーネス、おもちゃは、迎えてから体格を見て選んでも間に合います。フードだけは、迎える日に切らさないようにしてください。
迎える前後にそろえるものの例
本文で挙げた4つのうち、実物を見比べにくいものを一例として挙げます。フードは迎える日に必要ですが、首輪・ハーネスとおもちゃは体格を見てからで間に合います。サイズは適応体重・首回り・胴回りを確認してお選びください。価格や在庫は変動するため、購入前に各販売ページで最新情報をご確認ください。
用品より先に決めておきたいことがあります。かかりつけになる動物病院と、お住まいの市区町村での手続き窓口です。フードの量は愛犬の体重と製品のカロリーで変わるため、記事内の給与量計算ツールで1日の目安を出してから購入量を決めてください。体調に不安があるとき、療法食を検討しているときは、自己判断で選ばずかかりつけの獣医師にご相談ください。
初日から1週間は何を優先する?
この時期にやることは、ほとんど「見守ること」です。
かわいくて構いたくなりますが、**最初の数日はしっかり眠らせてあげてください。**新しい家、新しいにおい、新しい音。子犬にとっては情報量が多すぎる状態です。家族が代わる代わる抱っこすると、休む時間がなくなります。
食事は、それまで食べていたフードを同じ量・同じ回数で続けます。環境が変わるうえにフードまで変わると、おなかを壊しやすくなるためです。切り替えたいときも、落ち着いてからにしましょう。量と回数の目安は子犬のご飯の量と回数で詳しく扱っています。
そして、この1週間でいちばん大事なのが体調の観察です。次のようなことがあれば、様子見を続けずに動物病院へ相談してください。
- 食べない、飲まない
- 下痢や嘔吐が続く
- ぐったりしている、反応が鈍い
とくに小型犬の子犬は、食事の間隔が空くと低血糖を起こすことがあります。判断に迷ったら、自己判断で待たずに連絡するほうが安心です。食べないときは犬が急にご飯を食べない、下痢が気になるときは犬の下痢もあわせてご覧ください。
最初の1週間に確認する手続きは?
日本では、犬を迎えたときにいくつか手続きがあります。細かい方法は自治体で違うので、ここでは「何があるか」だけ押さえてください。
| 手続き | 確認すること |
|---|---|
| 犬の登録 | 生後91日以上の犬は、市区町村への登録が必要です |
| 狂犬病予防注射 | 生後91日以上の犬が対象で、以後は毎年1回受けます |
| マイクロチップ | 装着済みなら、飼い主情報への変更登録をします |
犬の登録と年1回の狂犬病予防注射は、飼い主の義務とされています。生後91日以上の犬を迎えたら、所有してから30日以内に登録します。交付された鑑札と注射済票は、犬に付ける決まりです(出典: 厚生労働省「狂犬病に関するQ&A」)。
ブリーダーやペットショップから迎えた子犬には、マイクロチップが装着されています。飼い主になるときは、自分の情報へ変更登録が必要です。すでに飼っている犬への装着は努力義務ですが、装着した場合の登録は義務とされています(出典: 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A」)。
なお、マイクロチップの登録が犬の登録を兼ねるかどうかは、お住まいの自治体が特例制度に参加しているかで変わります。**二重に手続きしないためにも、市区町村の窓口で一度確認してください。**予防注射の初回時期も、体調とワクチンの予定を含めてかかりつけの獣医師に相談すると確実です。
生後1〜4か月ごろに気をつけることは?
この時期のテーマは2つ。ワクチンと社会化です。そして、この2つは少しだけ相談しながら進める必要があります。
ワクチンについては、WSAVA(世界小動物獣医師会)のガイドラインが、子犬のコアワクチンを2〜4週間隔で接種するようすすめています。子犬期に行う最初のシリーズの最終回は、生後16週齢以降が目安です(出典: WSAVA Vaccination Guidelines Group「2024 Guidelines for the Vaccination of Dogs and Cats」)。実際の回数や間隔は、その子の状況で変わります。スケジュールはかかりつけの獣医師と決めてください。
社会化のほうは、生後3か月までが特に大切な時期とされています。AVSAB(米国獣医行動学会)によると、この時期は人や環境に近づこうとする気持ちが恐怖心を上回りやすいそうです。だからこそ、安全にできる範囲でさまざまな人・動物・環境に触れさせることがすすめられています(出典: American Veterinary Society of Animal Behavior「Position Statement on Puppy Socialization」)。3か月で終わりという意味ではなく、その後も続けていくものです。
つまり、ワクチンが全部終わるのを待っていると、いちばん大切な時期が過ぎてしまうことがあります。とはいえ、感染のリスクを無視するわけにもいきません。抱っこで外の音や景色に慣らす、車に乗せてみる、来客に会わせるなど、リスクの低いところから始めるのが現実的です。外に出せる範囲は地域の感染状況でも変わるので、かかりつけの獣医師に確認してから進めましょう。
生後4か月以降は何を見直す?
体が大きくなってくると、それまでちょうどよかったものが合わなくなります。次の3つを定期的に見直してください。
- 食事の量: 体重が増えれば必要な量も変わります。給与量計算ツールで定期的に計算し直すと、増やし忘れ・減らし忘れを防げます。
- 体型: 数字だけでなく、見た目と触った感じでも確認します。肥満度チェック(BCS判定)が使えます。
- 成犬用フードへの切り替え時期: 体格によって変わります。子犬用・成犬用・シニア用フードはいつ切り替える?で扱っています。
去勢・避妊についても、体が大きくなってくると話題に出てきます。適した時期は体格や犬種で変わるため、月齢だけで決めず、かかりつけの獣医師と相談しながら考えてください。
いまの月齢が人でいうと何歳くらいかは、犬の年齢 人間換算ツールで確認できます。成長のスピード感をつかむのに便利です。
つまずきやすいのはどこ?
先輩飼い主がよくつまずくのは、だいたい次の4つです。
フードを急に変える。 「もっといいものを」と思って初日から切り替えると、おなかを壊しがちです。AAHA(米国動物病院協会)は、4〜7日かけて食事を調整すると消化器の好ましくない反応が減ることがあるとしています(出典: American Animal Hospital Association「2021 AAHA Nutrition and Weight Management Guidelines」)。日ごとの割合はフード切り替えスケジュール自動生成で出せます。
構いすぎる。 眠る時間が減ると、体調にも情緒にも響きます。
ひとりの時間をつくらない。 常に誰かがそばにいる生活に慣れると、留守番が苦手になることがあります。短時間から練習しておくと安心です(犬が留守番できない)。
誤食対策が後手になる。 動けるようになると行動範囲が一気に広がります。片づけは「歩くようになってから」では遅めです。食べていいもの・いけないものは犬が食べていいもの一覧にまとめています。
今日からできることは?
最後に、時間軸で整理します。
- 今日: 寝床とトイレの場所を決める。床の小物を片づける。いま食べているフードを確認する。
- 今週: かかりつけになりそうな動物病院を探す。自治体の窓口で手続きを確認する。体調を毎日メモする。
- 次の通院時: ワクチンのスケジュール、外に出せる範囲、去勢・避妊の考え方を相談する。
全部を完璧にやろうとしなくて大丈夫です。**迷ったら、体調と睡眠を優先してください。**手続きの期限と社会化の時期だけ頭の片隅に置いて、あとは一つずつ進めましょう。
子犬を迎えたときのよくある質問は?
初日はケージから出さないほうがいいですか?
出してはいけない、ということはありません。ただ、最初は行動範囲を広げすぎないほうが落ち着きやすいでしょう。
短時間だけ出して様子を見て、疲れが見えたら休ませる。この繰り返しで十分です。
夜鳴きにはどう対応すればいいですか?
環境が変わった直後は、鳴くこと自体は珍しくありません。寝床の位置や温度、直前の排泄など、整えられる条件から見直します。
長く続く場合や、鳴き方が普段と違う場合は体調の可能性もあります。かかりつけの獣医師に相談してください。
散歩はいつから始められますか?
一律の月齢では決められません。ワクチンの進み具合と、地域の感染状況の両方で変わります。
抱っこでの外出は早くから始められることが多いようです。地面に下ろす時期は、かかりつけの獣医師に確認してから決めてください。
動物病院にはいつ連れて行けばいいですか?
体調に問題がなくても、迎えて早い時期に一度受診しておくと、そのあとの相談がしやすくなります。
その際、ブリーダーやペットショップから受け取った健康・ワクチンの記録を持参してください。今後の予定を立てやすくなります。
去勢・避妊はいつ相談すればいいですか?
生後4か月を過ぎたあたりから、話題として出しておくとよいでしょう。時期は体格や犬種で変わります。
月齢だけで決めず、成長の様子を見ながらかかりつけの獣医師と決めてください。
出典
- 厚生労働省「狂犬病に関するQ&A」
- 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A」
- WSAVA Vaccination Guidelines Group「2024 Guidelines for the Vaccination of Dogs and Cats」
- American Veterinary Society of Animal Behavior「Position Statement on Puppy Socialization」
- American Animal Hospital Association「2021 AAHA Nutrition and Weight Management Guidelines for Dogs and Cats」
免責
この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、獣医師による診断や治療の代替ではありません。
子犬の成長や体調には個体差があります。ワクチンの時期、外に出せる範囲、去勢・避妊の判断は、かかりつけの獣医師にご相談ください。手続きの詳細はお住まいの市区町村の窓口でご確認ください。